2006年11月に「競馬最強の法則」誌に対して送った予想法

 多くのサラリーマン、ビジネスマン等の方々は、その仕事を整然とスピーディにこなしていくためため、情報の処理に色々と努力をされていることと思います。次々に来る情報をどう整理していくかが、良い仕事をしていくための重要なポイントとも言えるでしょう。
 では、競馬においてはどうでしょうか。競馬では、仕事など問題にならないくらいの情報が毎週次々と発生し、それらの情報をどう処理するかが、まさに「予想」という作業の本質なのだと思うのですが、情報の整理をどのようにしていくかということについて論じられることはほとんどなく、週末ごとに競馬新聞を見ては、そこに書かれている膨大な量の情報とにらめっこするという日々を送っている方が多いのではないでしょうか。

 私の予想の根幹はスピード指数ですが、スピード指数というものは、数値の単純比較をしているだけでは決して勝てるものではありません。
 情報を整理し、スピード指数による能力評価を的確に行っていくことで、より良質の予想をしていこうというのが私の予想の基本的な考え方です。

 では、どういう方法で情報の整理を行っているかについて説明しないといけないんですが、その前に、私の予想方法及び考え方についてざっと説明したいと思います。

 先に触れたとおり、私はスピード指数を使用しています。貴誌において、「西田式スピード指数」が紹介された頃からなので、かれこれ15年くらいになります。
 スピード指数は、タイムをそのまま数値化するものですから、馬の能力を計るには非常に便利なものであり、とりわけ西田式は、分かりやすく使いやすい指数だと思いますが、その使いやすさゆえに、数値比べだけでは勝てないという現状もあります。

 競馬という競技がタイムを競うものである以上、タイムを基準とするスピード指数は、馬の能力を計る手段として非常に有効であるのは間違いありません。もともと、スピード指数による予想というのは、数値の単純比較をして指数上位馬を買うというのではなく、指数を総合的に判断して能力評価をしていくものだと考えていましたので、指数から能力を見極めるテクニックさえ磨けば、自ずと成績も上がるだろうと考えていました。

 しかし、個々の数値は、それぞれ数値の信頼性や価値が異なるため、数値だけでは個々の馬の評価をすることができず、その数値がどういうレースのどういう状況で出された指数なのかということも含めた評価をしていかなければ、本当の意味で総合的な評価をしたとは言えないと思います。
 ですから、目の前のレースを正しく予想していくためには、過去のレースが正しく評価されている必要があり、その過去のレース評価にしてもその前のレース評価が重要となってくるのです。
 つまりは、日々の予想がしっかりとしていれば、その後の予想もしっかりしたものになるということなんですが、毎週次々と行われるレースの一つひとつで、自分がどういう予想をしてどういう評価になったかということを記憶しておくことはなかなか難しいことです。

 そこで、最初に書いた「情報の整理」の話につながるわけですが、日々の予想の中で考えた様々なことを順次整理していくことで、次々と入ってくる膨大な情報の中から、特に重要なものとそうでないものの選別ができるというわけです。
 ただ、前述のように個々のレース評価は、一連の流れの中にあるものなので、全体の流れも押さえておかなくてはなりません。そのために、いつどのようなレースが行われ、それぞれがどういうレースだったか、また重要なのはどのレースなのかということも把握しておかなくてはなりません。

 それを具体的にどうするのかという点ですが、私は@各開催日ごとのレース結果一覧と、A一開催(8日)ごとのカテゴリ別レース一覧を作成しました。(別添のとおり)

 それぞれについて説明すると、まず、@については日々のレース評価をするために作成するものです。
 日々のレース評価は、予想の記憶やレースを見た印象ができるだけフレッシュなうちに行った方が、しっかりと記憶にも定着しますし、上辺だけでない生身の評価が下せるというものです。
 レース終了後、できるだけ早い時期に作成し(とは言っても、指数を出したあとなので月曜以降になりますが)、予想段階での評価やレースを終えての感想、さらに結果としての指数を見た上で個々のレース評価を行い、中でも重要と思われるものはどれなのかということを考えます。重要と思われるものには蛍光ペン等でマーキングしておくといいでしょう。
 Aについては、年齢別・芝ダートの別・距離別・クラス別等にカテゴリ分けし、それぞれのカテゴリ内のレースを一覧表示したものです。
 個々のレース評価という「点」を「線」とするためには、全体の流れがどうなっているのかを把握する必要があります。そのために、全体を見渡せるようなものを作ったわけですが、これは言わば、本における目次のようなものです。
 目次があれば、どこに何が書いてあって全体がどういう流れになっているかすぐに分かります。また、一読して重要だと思った箇所が、話の流れの中ではどういう位置にあるのかということも、わざわざ1ページずつ開かなくても、目次を見るだけでつかむことができます。
 いつどのようなレースが行われ、その中でどのレースが重要であるかを把握することで、全体の流れを知ることができ、個別のレース評価もより深いものになりますし、さらには、そこから派生してさらなる評価につながることもあります。
 流れをつかむという性質上、ある程度の期間をまとめたものでなければなりませんが、かと言って古すぎるものは意味がありません。一開催(8日間)くらいが適当なのかなという気がします。
 当然のことですが、これらのものは作成しただけでは意味がなく、これを基に記憶を反芻しながら随時判断評価を行っていくことが必要不可欠と言えます。

 以上のことをベースに予想を行っていくこととなりますが、日々の予想はいたってオーソドックスなものです。馬柱や指数を見て、メンバーの中から勝ち負けになりそうな馬を洗い出し、その中から自分の買う馬を決めていくという感じです。
 ただ、漫然と勝ちそうな馬を買い続けるような方法では、やはり勝つのは難しいと思います。下地としての評価がしっかりしていれば、それだけ勝ち馬の判断も正しくなるには違いないんですが、誰もが強いことを知っている馬を買うようでは、せっかく情報整理をした意味がなくなってしまいますから、なるべく世間一般が感じていないだろうなというようなものを論点にして、予想していくべきだと思います。
 例を挙げて説明しますと、下級条件戦になりますが11月11日の東京6R(2歳500万下/ダ1300m)では、新馬戦を高い指数で勝ったスズノネイビーやサーキットレディというところが人気になっていました。
 これらの馬については、個人的にも期待していた馬ですし、手元のレース一覧でも色付けマークがされている馬でしたが、個人的な期待と世間的な期待にそれほど差がないと感じたので、このレースでこれらの馬を推すのは論点にならないだろうと感じました。
 それよりも、かねてより2歳ダートの中心レースと考えていた6月の新馬戦で、エイシンイッテンの3着となっていたビクトリーテツニーが注目すべき存在だと思いました。
 新馬戦では勝ち馬からかなり離されていましたし指数も微妙でしたから、それ単体では評価できなかったんですが、前走の未勝利戦ではそれなりに高い指数で勝っていた上、マイネルカンターレやヘヴンボーンを破ってきていました。2頭は共に、新馬戦やその後の未勝利戦を通じて幅広い条件で高い指数をマークしていた馬で、その能力を高く評価している馬でした、それらを破っていたビクトリーテツニーは他の馬に比べると指数の信頼度が高いと思っていました。
 後々このレースを評価する意味でも、ある程度能力の知れている馬というのは、他の馬の能力を計る上での基準にもなることから、非常に重要な存在と言えます。
 結果的に、このビクトリーテツニーが勝つわけですが、重要なのは馬券が当たったか外れたかということでなく、全体の流れを意識した結論を出せたということです。流れを意識することで、このレースの当たり外れだけでなく、今後の予想にも大きな影響を与えることになるからです。

 以上が私の予想方法ということになりますが、これは「情報の整理」を基本とした予想の一例であり、整理の方法も色々と考えられるでしょうし、スピード指数を使うという必然性もないと思います。人それぞれ、自分の予想法にマッチした整理の方法というものがあると思いますので、この予想が何らかの提案になればと思います。

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